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2014年5月13日火曜日

3Dプリンタと銃規制

5月上旬、3Dプリンターで作成した銃が押収されたということで、3Dプリンターの規制論が話題になっている。

・樹脂製3Dプリント銃、金属探知機で検知できず (YOMIURI ONLINE,2014/5/8)
・3Dプリンター銃作製 「銃規制する社会への挑戦」 (TBS news,2014/5/8)
・3Dプリンター拳銃事件 国家公安委員長、銃規制見直し必要性言及 (FNN news,2014/5/9)

その報道にちょっと疑問点が多いので、感想を。


1)3Dプリンターで本当に銃はつくれるのか?

一般人が手に入れやすい低価格3Dプリンターでは、強度のある樹脂素材は作れない。
そもそも積層して形を作るので、金型で成形するのに比べてせん断方向の力には弱く、
3Dプリンターで作ったカップに水を入れても漏れ出すことがあるくらいの精度。
(一般的には0.1~0.2ミリが最少だが、実際には樹脂のそりなどもあってもっと低い)

こんな強度と精度のもので銃を作って、中で火薬を爆発させるなんで怖くてできない。
暴発して指が吹っ飛ぶんじゃないか?
警察ではテストしてベニヤ板10枚くらいを打抜く殺傷力があったとのことだが、
たぶん恐くて、遠くから引き金を押したんだろうと思う。

大体、銃のカタチは作れても、弾丸(火薬も)どうやって入手するのか?

犯人は、湘南工科大職員で、高等職業技術校で旋盤などの加工技術や免許を幅広く取得していて、機械加工の会社に努めたこともあったらしい。
3Dプリンタ銃も金属で補強されていたらしい。つまりものづくりのプロ。一般の人が作れるわけない。

樹脂製でなく金属焼結の3Dプリンターなら強度がもうちょっと高いものが作りやすいだろうが、こちらは機械がまだまだバカ高いので、一般人が入手する心配はない。

このあたり、冷静な報道もある。
・3Dプリンターで拳銃作った男を逮捕 だれでも作れるものなのか (J-CASTニュース,2014/5/8)
・3Dプリンター銃 技術より使い方の問題だ(MSNニュース、2014/5/10)


2)3Dプリンター以外に、もっと問題なことがあるのではないか?

そもそも犯人が湘南工科大職員であったことがなぜ問題にならないのか?
学校の先生や職員が犯罪を犯す事件はマスコミが大好きで、ふつう大ニュースになるのに。


3)法規制は、大変
「今から法規制を」とう声が上がっているらしい。この辺は行政書士試験を取って、役所がらみの仕事をしている身としては、なんとなくわかる。
警察官を含む公務員は、とにかく法律の裏付けがないと動けない。
いまの銃刀法の法律で、3Dプリンターで作った銃が規制できないような解釈なら、法律の変更も仕方はないだろう。
ただ、当然今の銃刀法でも銃の製造が禁止されているだろうから、それで規制できているのであれば、ことさら大騒ぎすることはないかもしれない。


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