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2014年8月22日金曜日

目標を立てない日本企業と、女性の社会進出が進まない理由の関係

経営コンサルの仕事をして8年、多様な業界100社以上の企業のコンサルに携わってきたが、日本の企業の共通点として感じるのが、「目標を立てない企業文化」である。

目標がない仕事は、ゴールのないマラソンと同じ
皆がどこまでやるかわからないので、とりあえず横を見ながら人より多く走ろうとする。最低でも、人と同じだけ走ろうとする。

その結果、横並び意識、超過労働という労働文化が醸成されているわけだ。
この悪弊は、「有給休暇が好きな時にとれない」といったミクロなことから、「女性の社会進出が進まない」というマクロな社会問題にまで、深く関係しているのではないかと思う。

当然、目標のあいまいなままで競争をすると、短い時間で働いて結果を出してアピールすることが難しくなり、長い時間働いて成果を上げてアピールすることが有利になるからだ。

では、なぜ目標を立てないのか?目標を立てると達成できなかった時の言い訳をしなければいけないし、それによって自分の評価がマイナスになる可能性があるからだ。
目標を立てなければ、よかったことは自分の手柄に、悪かったことは外部のせいにして、言い訳をすることが容易になる。目標に対しての手段や行動の正しさが検証できないから。
この無意識に「マイナス評価を避けたい」と考え「目標を宣言するリスク」を避ける文化(いや雰囲気というべきか)は、企業の大小を問わず、企業のトップまでしみついている。

社訓や経営理念が大好きな日本の会社
「いやいやうちの会社は、売上目標を○○%伸ばすと、中期経営計画に宣言されているよ」と反論される方もいるかもしれない。しかし、その中身を見てみると「なぜ売上目標○○%伸ばすことを目標にしているのか、達成したら何が変わるのか、目標達成のためにどんなことを(トップが)行うのかが明確に書いていないことがほとんどである。
ちょうど、市町村が「交通安全宣言都市」や「非核宣言都市」をするのに似ていて、達成不可能な、あるいは、達成したかどうかも検証できないことを目標に掲げるのに似ている。
あえて、自分の責任かどうか明確にわからないレベルに目標設定をとどめておいて、「やらなかった」という責任を回避するのだろう。
何より実際に、従業員に聞くと部課長クラスはおろか役員レベルでさえ「今年のうちの会社の目標って、聞いてるか?」ということがほとんどである。
なんといっても、やめさせられるリスクのないオーナー社長でさえ、今年の経営目標は何ですか?と聞くと、明確にしていないことが多い。従業員に「うちの社長は宣言した目標を達成できなかった、何もしなかった」と責められるのが、プライドにかかわるのだろう。
代わりに、必達数値を伴わない「社訓」「経営理念」の類が大好きだったりする。

こういった場合、突っ込んでヒアリングすると、ほとんどの場合「売上アップ」「コスト削減」「品質改善」「クレーム削減」といった、どの企業にでも当てはまる毒にも薬にもならない目標が挙げられている場合がほとんどである。
これが「市場の成長率が3%で、あるいは、ライバル企業が○億だから、うちの会社は今年は○○%、コストを増やさずに売上を上げたい」という形であれば、社長以下各レベルの職位でやるべきことが決まってくるはずだ。(が、そうはしない)。
一年が終わって、結果として「今年はこうだったね、○○さんが頑張ったからだ!」というやりかたが好きなのである。

私が働いた外資系企業数社では、目標は「がんばれば達成可能なもの(ストレッチゴール)」に常に設定されるし、社長を含めて自分の目標を達成することに責任を意識している。
達成できなければ何らかのペナルティが発生する。
達成できないことに自責の理由が高ければ、場合によっては首になることもある。
しかし、会社を変えること当たり前なので、また新しい会社で同じようにチャレンジをするだけである。目標を立てないから人を辞めさせる(人がやめなければならないように責められる)ことがないのか、人がやめないから転職市場が活性化せず辞めるリスクが高まって、目標と立てたがらないのか・・・ 原因と結果が結びついた根深い問題である。

明確な目標を立てるやり方は、女性を働きやすくする
こういう仕事のやり方は、厳しいようにみえて女性には働きやすいのである。
目標がきまれば、それを達成すれば遠慮なく帰れるのでだらだら働かなくて良くなる。
仕事の効率をアピールすることができ、だらだら残業する同僚と差別化できる。
会社を辞めやすく、再就職しやすくなるので、ライフステージで転職がついて回る女性にとってはキャリアを継続しやすくなる。

もちろん目標を明確にすると悪い点もでてくる。セクショナリズムや目標として検証しにくい(定量化しにくい)行動が、軽視されるようになる点だ。
しかし何事もバランスが大事。今の日本の企業文化は目標を立てないぬるま湯文化に傾きすぎているように感じる。

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