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2014年2月28日金曜日

日本の管理職はアジアより賃金が低い?

本日の日経電子版 に「日本の管理職、年収「割安」 中国、タイを下回る」という記事が上がっている。


アクセスランキングが当日付で一位だ。
おそらく、日経電子版の主要な購読者層である大企業の部課長さん達が、「その通りだ」と快哉を叫んで見ているからだろう。

欧米はともかく中国やタイよりも幹部の給料が低いので、人材流出の懸念がある、という論調である。

こういう記事を読むと、日経の記者は、有名大学を出ていても統計の読み方を知らないのか、知っていて確信犯的に統計のトリックを使ってセンセーショナルな書き方をしているのか、どちらにしても戴けない。

統計で必ず見なければいけないのが、母集団の特性だ。
この点、この記事は検証が甘そうだ。

まず、全社員の中での管理職が占める割合がどうなのか?
おそらく、高齢化の進む日本では、タイよりも管理職の比率が大きいのではないか?
単純に管理職の割合が倍ならば、管理職に出せる給料は半分になる。
日本では実質的に社内失業状態の管理職も多いのではないか?
欧米はもちろん、アジアの企業でもそのような管理職はすぐにクビを切られるので、その分他の「優秀な」管理職が高給を取れることになる。

それから、日本の場合、管理職 の報酬に、退職金積立金が含まれているのかどうかがわからない(多分取るのが難しいので入っていないだろう。)
退職時に何千万の退職金が出るのは終身雇用の日本だけではないか。
部課長職だったら、数千万もらうだろうから、年間五十万は積み立てている勘定だ。

多分、こういった状況を冷静に把握している優秀な管理職は、会社で生き残りと出世を賭けて懸命に働くか、見切りをつけてとっくに他社に移ったり独立しているだろうから、どちらにしても人材流出が増える可能性はあまりないだろう。

メディアの人と接していて時々感じるのは、「真実を伝える」よりも、「まだ起こっていない事実を作り出して事実にする」(つまり、自分の力でトレンドや流行語を作り出す」)ことに喜びを感じているようだ。
意外と事実はつまらないもので、人に知られていない新しい事実を見つけ出すのは大変であろう。そうなると、記者として注目される記事を書くには、自分で新しい事実をつくってしまうのが手っ取り早い。この辺が、注目されてナンボのマスコミの世界の理想と現実の矛盾とマスコミによる正義の限界だろう。




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