1D x 2D x 3D = 6D

地域情報と食と農、ITと3Dに関するよもやま話

2014年5月20日火曜日

ユニクロ Tシャツデザインサイト UTme!問題に関する考察

ユニクロのTシャツデザインサイト UTme!の利用規定が厳しすぎることが、ネット上で問題になっているようだ。

議論の内容は、
- 全ての著作権を譲渡 → 自分で自分のTシャツデザインが転用できない
- 著作者人格権も行使できないようにしている

ということで、もはや自分でデザインしたTシャツが、デザインをアップした途端に自分のものじゃなくなる、厳しすぎる、という意見だ。
↓こちらのサイト

http://utme.uniqlo.com/terms_ja.php

これに関しての考察を幾つか……

- このサイトの知名度は一気に上がった。
     悪い噂とはいえ、ユニクロがこういうサービスをやっていることは多くの人がしらなかったのでは? 権利を失っても構わないような定型的なデザインなら、使ってみようと思った人も多いのでは?

- この条文は、日本人に向けたものではない
    条文の最後に、「本規約及びサービス利用契約の準拠法は日本法とします。
本規約またはサービス利用契約に起因し、または関連する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とします。」とある。この手の準拠法と管轄裁判所の条項は国際間の契約に入るものです。なので、コピー業者など確信犯を警告するための性悪説に基づいたものである。

- 多分、ユニクロはこの条文の作成(多分サイトの開発自体も)外部業者に丸投げしていた。
  恐らく国際法務に詳しい弁護士事務所がチェックして、業者がそれをそのまま載せたのだろう。

法律しか知らない法務担当は、全て法の世界で予防しようとするが、ビジネスの世界から見ると法務はリスク回避、紛争解決の一手段。
あくまでもリスクの大きさ・可能性とコストを考えて対応しないといけない。
このケースでも、悪意を持った外国人向けの文言を日本語のサイトに掲載する必要があったのか?を考えないといけない。
また、ユニクロは場を貸しているだけなので、著作権の紛争には関係ない、と記述すればよかったとも考えられる(そもそも盗作が怖い人は、このようなサイトにデザインを公表することはしないだろうから、もしそういう紛争がおきたら、盗まれた人と盗んだ人の間での責任でお願いします、でよかったのではないか)。
極端な話、このケースは民事訴訟だろうから、ユニクロが当事者になる訴訟リスク(可能性と金額)が期待売上に比べて極端に小さいなら、無視してもいいという判断もある。法律ですべてを事前予防しようとすると、小さすぎるリスクまで過剰対応してしまい、今回のように「オウンゴール」ということになってしまう。最悪、「やらなかった方良かった」、ということになってしまったら意味がない。

悪意をもった人を防ぐための法的な文言は、今回のように一般人にマイナスの誤解を生みやすい。私も、外資系で海外の現場を知らない法務との無意味な議論に辟易したことがある。

言えることは、企業法務の担当はビジネスと法律の両面をしらないといけないし、NOをいうだけでなく法律以外での回避策を柔軟に提示できないといけないと思う。ユニクロも大企業なのだから、そういったセンスの法務担当者を採用すべきではないか。

5/21追記

制定.公開した5/19に炎上して、5/20には、以下の文言に改定された。
  1. 投稿データの著作権はユーザーに帰属します。
なかなか早い対応。知名度が上がってユニクロとしては結果オーライだった?





0 件のコメント:

コメントを投稿

お薦めの記事